OTC類似薬の保険給付見直し
日本維新の会は、しきりに「OTC類似薬の保険給付見直し」を政府与党に求め、あたかも「OTC類似薬の保険給付見直し」こそ維新の一丁目一番地であるかのような様相を呈しています。
本件は、かねてから財務省vs医師会でバトルしてきたテーマですから、日本維新の会が与党を突き上げて財務省の主張を一歩でも進めたいなら、それはそれで野党の一つの仕事として、否定はしません。
ただし、この三週間でどこまで進むのか予断を許すテーマではないことから、仮に少ししか進まなくても、日本維新の会には、7月の参院選やいずれ来たる解散総選挙をこえて、その実現まで、その公約の一丁目一番地に位置付け続けていただきたいと思います。
昨年10月の衆院選では「高齢者医療の窓口負担原則3割」の旗を一丁目一番地に掲げ、評判が悪いとみるや直ちに旗を下ろして、今春からはOTC類似薬の保険給付見直しの旗を高らかに掲げる。本当に体を張って実現まで頑張る覚悟があるのかないのかよく分かりません。
そして、そうした覚悟に加えて、できれば「OTC類似薬の保険給付見直し」こそ社会保障改革そして社会保険料を引き下げるためのセンターピンなんだという、なるほど!という説明が欲しいところです。
そうした合理性の高い、説得力のある説明が繰り返しなされて初めて、日本維新の会の政策力に対する有権者の信頼が戻ってくると思うのです。
参考
日医・松本会長 財政審のOTC類似薬の保険給付見直し「容認する余地は微塵もない」 中間年改定は対象絞るべき
◎セルフメディケーション「問題あることは事実」 薬の選択は「リスク伴う」
財務省は11月13日の財政制度等審議会財政制度分科会で、自助の観点からセルフケア・セルフメディケーションを推進する必要性を強調。国民の利便性の観点からも、「医薬品のスイッチOTC化を進め、薬局で自ら購入できる医薬品の選択肢を増やしていく必要がある」と主張した。OTC類似薬の自己負担のあり方についても言及。「保険外併用療養費制度の柔軟な活用・拡大」について検討を行う必要性を指摘している。
日医の松本会長は、「セルフメディケーションにおいては、OTC医薬品の適切な選択、助言・相談体制が必要だ。その中で、薬剤師の的確な受診勧奨に基づく情報共有とともに、医療機関との連携がその根幹だ」との考えを表明した。
そのうえで、「災害時や医療機関にアクセスできない場合のセルフメディケーションを否定するものではないが、問題点もあることは事実」と指摘。「例えば日本人のヘルスリテラシーが諸外国と比較すると非常に低いことが指摘されていること、またOTC医薬品による急性中毒や、薬物依存が増加しているなど適正使用されていないこと、またOTC医薬品購入時に専門家が常駐しておらず、適切な情報提供がされていない事例があることなどが挙げられる」と課題を列挙した。「症状の誤認識、副作用の見逃し、および受診機会の遅延など、患者自身が適切な薬を選択できるか。薬を選択することにはリスクも伴う。国においては、国民の安心・安全を第一に考えて、セルフメディケーションを進めていってほしい」と要望した。
◎OTC類似薬の保険給付見直し「国民皆保険制度の理念を形骸化」
また、OTC類似薬における保険給付のあり方の見直しについても言及。「適切な医療は保険給付の範囲で見るべき。財政審の主張は、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療に確保するという国民皆保険制度の理念を形骸化させるものであり、容認する余地など微塵もない」と断じた。
※ 「財政制度分科会(令和6年11月13日開催)資料」P46-P49を転載
※ X(旧Twitter)投稿を転載
(アーカイブ:2025.02.09)