すべての責任は(音喜多駿の口車に乗せられた)吉村洋文代表にある
政府与党自民党が高額療養費の限度額引き上げを拙速に進めようとした背景には、岸田文雄内閣で法定した「子ども・子育て支援金」制度があります。
政府が23年12月に決定した「こども未来戦略」は、子育て世代を経済的に支援する「加速化プラン」の財源を3.6兆円とし、うち1兆円を医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」を充てる、そして、その支援金は社会保険料の軽減効果の範囲内で導入するため「実質的な追加負担はゼロ」と説明してきた経緯があるのです。
だからこそ政府与党としては、「こども未来戦略」を実現するために、つまり「子ども・子育て支援金」1兆円を確保するために、社会保険料の引き下げを図ることが必須だったのです。
だから、だいぶ無理をして昨年末から高額療養費の限度額引き上げをぶち込んできた。
そこに颯爽と登場し来年度予算案に賛成した日本維新の会も、政府与党と全く同じ文脈で「社会保険料を下げる改革」を一丁目一番地に据え、教育無償化等の少子化対策財源を確保するための改革の「具体化を図った」(「医療維新」p.3)報告書に、「高額療養費制度の見直し」(「医療維新」p.7)を掲げてきたのです。
具体的には、「高額療養費制度の利用条件や範囲を見直す。例えば、必要不可欠な医療行為に限定して制度を適用することや、繰り返し同じ医療サービスを利用する場合には負担上限額を見直すなどの措置を導入する」(「医療維新」p.7)と、政府与党と手法は違えど高額療養費の限度額引き上げを提言してきたのです。
政府与党からしたら、心強かったでしょう。
・少子化対策の財源確保が必要
↓
・その財源は医療制度改革で生み出す
↓
・具体案の一つは高額療養費の限度額引き上げだ
という三点で日本維新の会と完全に一致しているのですから。
そうした大きな文脈の中で、来年度予算案に賛成した日本維新の会が、まさか「もともと(高額療養費の限度額引き上げに)反対だった」と裏切ることになるとは、さすがの石破茂総理も、森山幹事長も、想像してなかったのではないでしょうか。
いずれにせよ、日本維新の会は「聖域なき改革を断行して歳出を抑制すれば(中略)少子化問題の真の解決に必要な財源は確保できる」(「医療維新」p.3)と胸を張っているのですから、単に高額療養費の限度額引き上げの政府案を断念して終わりではなく、しっかりと(「子ども・子育て支援金」1兆円と「高校支援金の拡充」等のための財源を確保するための)具体的な代案を提示する責任があります。
国民医療費4兆円を削減すると宣言した日本維新の会にとっては朝飯前だと思いますが、万が一、高額療養費の限度額引き上げの代案さえ実現できないなら、当に、バラマキ予算を要求だけして終わりの無責任野党との誹りを免れることはできないでしょう。
なお、日本維新の会が岸田内閣と同じ
・少子化対策の財源確保が必要
↓
・その財源は医療制度改革で生み出す
というロジックで医療制度に向き合うことは、医療にとって、そして日本の社会保障にとって、百害あって一利なしと考え、私は猛反対をしましたが、吉村洋文代表と音喜多駿政調会長のコンビが押し切ってしまったのです。(経緯→ https://x.com/adachiyasushi/status/1779695652999680334)
以上が、すべての責任は(音喜多駿の口車に乗せられた)吉村洋文代表にあると私が断ずる所以なのです。
※ X(旧Twitter)投稿を転載
(アーカイブ:2025.03.08)