経済は生き物

経済政策というのは、

A)飛行機が安定して上昇軌道を飛び続けることが出来るようにする政策

B)横殴りの突風に晒されて軌道から外れてしまった飛行機を軌道に戻す政策

に大別できます。

経済は生き物ですから、人間の健康をつかさどる医療に喩えれば、

A)体質改善 と B)応急処置

ということになるし、経済学では

A)長期政策 と B)短期政策

という表現になります。

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国民民主党の政策のうち、基礎控除の引き上げやガソリン暫定税率の廃止は、B)応急処置としても意味がありますが、その本来の意味はA)体質改善にあります。

他方、消費税減税は、インボイス廃止という意味ではA)体質改善にも役立ちますが、その本来の狙いはB)応急処置にあります。

だから、仮にB)応急処置が必要なくなれば、消費税減税は不要になる。

当たり前ですね。

もちろん、本当に止血=応急処置は必要なくなったのか。それは、玉木雄一郎代表も断定していなくて、「玉木氏は米国の関税政策を踏まえて消費税減税を訴えるかどうか最終的に決める」(日経新聞)と説明したと報じられている通りです。

いずれにせよ、基礎控除の引き上げやガソリン暫定税率の廃止は、マクロ経済運営に係る判断とは別に、絶対に必要な政策です。

よろしくお願い申し上げます!

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以下、短期と長期についての補足

■ 短期政策(=応急処置)
•例えるなら:「今すぐ火を消すための消火活動」
•目的:景気の急な悪化や物価高騰など、目の前の経済問題にすぐ対応すること。
•手段の例:
•一時的な減税や給付金
•利下げ(お金を借りやすくする)
•公共事業の増加で景気を刺激
•特徴:
•効果がすぐに出ることを期待
•問題への「その場しのぎ」になりがち

■ 長期政策(=体質改善)
•例えるなら:「病気になりにくい体を作る生活習慣の見直し」
•目的:経済全体の成長力や持続可能性を高めること。将来に備える。
•手段の例:
•教育・研究開発への投資
•税制や年金制度の抜本的な改革
•労働市場の改革(女性や高齢者の就労促進など)
•特徴:
•効果が出るまでに時間がかかる
•だが、根本的な改善につながる

まとめると:
•短期政策は「今の痛みを和らげる薬」
•長期政策は「健康な経済体質をつくる生活改善」

どちらも必要ですが、バランスとタイミングが重要です。

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玉木雄一郎(国民民主党)
これまでと同じことを言っています。もともと国民民主党の経済政策は、「名目賃金上昇率が、物価上昇率+2%(当面の間5%)になるまで、財政政策や金融政策を積極的に活用する」というものです。よって、名目賃金上昇率が5%を安定的に超えているなら消費税減税は要らないということになります。ちなみに、6月5日の連合の第6回集計では、名目賃金上昇率が5.26%であり5%を超えています。しかし、今後、トランプ関税の影響で賃上げ率が落ちてくれば、消費税率の引き下げが必要となります。だからこそ、国民民主党は参院選の公約に、条件付き、時限付きの消費税率一律5%への引き下げを掲げました。よって、我が党としては、まずは、所得税の控除額を178万円まで引き上げ、手取りを増やす政策の実現に最優先で取り組みつつ、トランプ関税交渉の進展次第で名目賃金上昇率が下降トレンドになれば、躊躇なく消費税減税を実施に移す方針です。

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(アーカイブ:2025.07.02)