法制審の「二つの氏」案、足立康史の「旧姓使用法定化」案

相変わらず一人相撲みたいな論旨が長々と書かれているが、橋下徹さんの論は、

別氏と筆頭者インデックスは相容れない
(これは正しい!)

"別氏を認める"なら個人インデックスに切り替えるしかない

に尽きる。

他方、国会議員たちが悩んでいるのは、"別氏を認める"と、同一戸籍同氏を原則とする現行の家族戸籍を個人戸籍に改変することとなり、広く国民の理解を得ることが出来ないこと。

だから、十年も二十年も、このテーマは放置されてきた。

電波コメンテーターがXで独り言を言っているうちは良いが、それでは何も進まない。

ついては、現在の家族戸籍システムを維持する="別氏を認めない"ことを条件に、いわゆる旧姓=旧氏を可能な限り不便なく使えるようにしようじゃないか、ということで、法制審の「二つの氏」案、足立康史の「旧姓使用法定化」案が生まれた。

あとは枝葉末節。

***

橋下徹
【各党の同氏・別氏選択制(選択的夫婦別姓)の問題点】これから各番組でテーマになりそうなので簡単に整理。●自民党ー戸籍上の表記だけにこだわり、家族の実体を無視。社会的実体において通称親と子供の氏の呼称はすでに異なっているのにそこはバラバラだと言わない。女性皇族と皇族の身分を与えられない夫・子供のバラバラは無視。そもそも戸籍という公証システムは実体を反映させるものであるのに、公証システムである戸籍だけを単独で考え、実体との不整合について無視。●立憲民主党ー別氏選択の法案提出をしたが、戸籍表記についてまとまらない。立憲内の保守派は1996年法制審通り筆頭者インデックスを残し、同一戸籍別氏表記を主張。しかしこれは実体を反映する公証システムではなくなる。民法改正において実体を別氏にするのであれば、それを反映する公証システムの戸籍は、筆頭者をなくして個人インデックスにするのが合理的。別氏と筆頭者インデックスは相容れない。●維新ーもっとも意味不明。今回の論点の把握不足。別氏選択を進めたいが同一戸籍同一氏も維持したい。そこで安易に通称を戸籍に記載するとするのが維新版選択的夫婦別姓らしい。そもそもここでの論点は戸籍上の氏をどうするか、ということ。戸籍上の氏でないものが通称。本名(戸籍上の氏)、通称(戸籍外の氏)という定義がそもそもできていないのではないか?通称を戸籍に記載するということは、それは通称が戸籍上の氏になるということ。維新案のように、同一戸籍同一氏を維持するために筆頭者氏も戸籍上の氏とし、さらに通称も戸籍に記載すれば、戸籍の表記上はダブルネームになる。維新案は本人確認の際に、戸籍上の氏は何か、戸籍上の氏を記載してくれと問われれば、何と答えるのか。その際、戸籍記載の通称を答えれば、それが戸籍上の氏となり、結局同一戸籍別氏になる。維新が言いたいのは、筆頭者インデックスを残すということだろう。つまり同一家族は同一戸籍に入るべきということ。しかしこれは1996年法制審の選択的夫婦別姓、立憲保守派案と何ら変わらない。にもかかかわらず、同一戸籍同一氏という自民党保守派と同じような保守派気取りになって、通称を戸籍に記載するという意味不明な案になったのだろう。それが戸籍上の氏になることの意味すら理解していないようだ。合理性を追求するなら、戸籍という公証システムは実体を反映するものという大原則を踏まえるはず。別氏を認めるなら、それに公証システムを合わせる。別氏と筆頭者は相いれない。別氏を認めるなら個人インデックスに切り替えて、必要な戸籍情報を組み入れていくべきだ。マイナンバーを付していけば、デジタル社会をつくるための必要不可欠な中核的基礎的インフラになる。

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(アーカイブ:2025.05.03)