「地獄の底まで腹を括る」かどうかが問われているのは、最初から腹を括っている国民民主党ではなく、日本維新の会と吉村洋文代表、その人なのです。

西田亮介さんは、103万円控除の引き上げについて立憲民主党がポジションを明らかにしないことについて「世論軽視」と批判しています。とても大事な視点であり全く同意なのですが、日本維新の会も、実は、103万円の壁は国民民主党のタマだとして、維新にも協力して欲しいなら維新国民会談に応じて「地獄の底まで腹を括ろう」と煽っています。

しかし、維新のやってることは単なる抱きつき作戦の延長でしかなく、子どものママごとに過ぎない。政治は優先順位の芸術だと理解していない。

国民民主党は、基礎控除引き上げ&ガソリン暫定税率廃止が最優先だと数字込みで政府与党に迫ってきた。

立憲民主党は、予算案の包括的な修正を求めている。

日本維新の会は、高校授業料無償化こそ最優先との観点から(政府与党が高校就学支援金の引き上げを提示してきたことを受けて)大阪方式のキャップ制なし&金額も63万円にまったく届かないにもかかわらず前原誠司国会代表が妥結に突き進んだ。ところが党内の反発を受けて方針転換。高校支援金だけでなく「社会保険料を下げる改革」と二本柱でないと妥結できないと言い出し、挙げ句の果てに(高校支援金が高校教育に与える悪影響への批判の高まりを受けて)一人で責任を負うのが恐くなり、国民民主党に「会談しよう」と秋波を送り続けている。

情けない。

大事なことは、それぞれの政党が政治意志を明確にすることだ。

繰り返す。

国民民主党は、基礎控除引き上げ&ガソリン暫定税率廃止が最優先だと数字込みで政府与党に迫ってきた。

立憲民主党は、予算案の包括的な修正を求めている。

日本維新の会は、何がしたい?

日本維新の会としても、本当に基礎控除の引き上げが日本経済にとって国民の生活にとって大事だと考えるのであれば、改めて日本維新の会も基礎控除の引き上げこそ優先課題だと考えている、与党との交渉に加わりたい、国民民主党が賛成しない限り日本維新の会も来年度予算案に賛成することはない、と「宣言」したらいいだけなのだ。

これまで通り高校支援金の拡充こそ最優先というなら、前原誠司路線で突き進めばいいし、いや基礎控除の引き上げも不可欠だと考えるなら、党の意志として、「宣言」したらいいだけなのだ。

それをせずして、国民民主党に秋波を送る。これこそ「古い政治」の典型ではないのか。

「地獄の底まで腹を括る」かどうかが問われているのは、最初から腹を括っている国民民主党ではなく、日本維新の会と吉村洋文代表、その人なのです。

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【西田亮介の週刊時評】与野党攻防にまったく登場しない野党第一党を問う
立憲民主党は世論の関心事「基礎控除の引き上げ」の議論から距離を置いたままでいいのか? 【西田亮介の週刊時評】与野党攻防にまったく登場しない野党第一党を問う(4/4) | JBpress (ジェイビープレス) 立憲民主党にはこの問題に嘴(くちばし)を挟むことに一見合理性はない。批判のリスクを恐れずポジションをとってみたところで単に国民民主党に華をもたせ、与党に無視されるだけで終わる可能性も少なくないからだ。ただ、そのような「伝統的駆け引き」は、世論を軽視しているのではないか。無駄を承知で、関心の声に応えてほしいものである。

足立康史
政策の優先順位の問題。それに尽きる。

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(アーカイブ:2025.02.21)