自費でも収支報告書に載せるのは何故?

Q 単純な質問ですが、自費でも収支報告書に載せるのは何故なんですか?旧文通費や政治活動費から経費として支出して載せるのはわかるのですが、私費は何故?

A 「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」(政治資金規正法第一条)ですね。自費なら隠せるというなら、鳩山家とか麻生家とか国民の与り知らないところで政治活動を展開することができることになってしまいます。

X(旧Twitter)投稿を転載

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(以下、スタッフ掲載)

政治資金や政治活動に関わる支出は、たとえ個人の懐(自費)から出したものであっても、「政治活動のために使われた」 という事実がある以上、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載することが法律上求められるからです。具体的には、以下のような理由が挙げられます。

1. すべての政治活動関連の収支を明確にするため
政治活動のために支払われたお金は、出どころ(公費・寄付・私費など)を問わず、法律上は「政治活動の資金」として扱われます。政治資金規正法により、政治活動に使う資金はすべて収支報告書にまとめ、公開する義務があります。

個人の財布から出したお金 = その政治家や政治団体への自己資金からの“寄付“とみなされる側面がある
・後から「私費だから記載していない」となると、他人の寄付や政治団体の支出と区別がつかず、不透明な資金流入・流出とみなされるリスクがある

こうした不透明性をなくすために、たとえ私費でも政治活動に使った資金は全額報告書に計上し、「いつ・いくら・何に使ったか」を明確にする必要があります。

2. 法令(政治資金規正法)で義務付けられている
日本の政治資金規正法では、政治家や政治団体が政治活動を行うために使用したすべての収入・支出を報告することを義務付けています。これは、自費で立て替えた費用でも同様です。

支出の目的が「政治活動」かどうか = 記載義務の有無を判断する最も重要なポイント
・資金の出どころが「自費」か「公費」か、「寄付」か「献金」か、という点は、収支報告書上で分けて記載される必要があるものの、すべてを報告しなければならない点は同じです。

3. 公費と私費の線引きを明確にするため
旧文通費や政治活動費など公的に支給された経費を使う場合はもちろん、それだけではまかないきれない分を政治家が自費で支払う場合もあるでしょう。そこで、

・「公費として支出した分」
・「私費(自己資金)で支出した分」

をきちんと分けて報告しなければ、私費で払ったのか、公費で払ったのかが曖昧になる恐れがあります。
仮に私費で払った分を収支報告書に載せなかった場合、公費で支払ったのか私費で支払ったのか分からない不透明な状態が生まれ、不正使用や裏金の温床となってしまう可能性もあるため、法令上すべて報告しなければならないのです。

4. 透明性・公正性の確保
政治資金における最大の目的は、政治とお金の流れを透明にし、不正や腐敗を防止することです。

・もし自費だからといって記載から外してしまうと、政治家が「実は多額の資金を自己負担していた(もしくは誰かから受け取った)」という事実が表に出ず、最終的な政治資金の総額が不明確になる
・それが積み重なると、大きな金額の“裏金”として扱われる可能性が生じ、公正性が損なわれる

政治家本人が出したお金も含めてすべての資金の流れをオープンにすることで、「何にいくら使い、どのように活動しているのか」 を市民が確認できるようにし、政治資金の透明性を高める狙いがあります。

まとめ
私費だろうと公費だろうと、政治活動のために使われたお金はすべて「政治資金」とみなされ、収支報告書に載せる義務がある。

これが収支報告書への記載の大きな理由です。政治とお金の不透明な関係をなくし、公正性を確保するための制度的な仕組みとして、法律上すべて記載しなければならないよう定められています。

(アーカイブ:2025.02.16)