飲食店にとって実質増税になるというのは消費税法的には誤りか
食料品の消費税=軽減税率8%をゼロ税率にする時限的措置を講じた場合の影響について、日本維新の会の吉村洋文代表が税理士でもある維新所属の萩原けい衆議院議員とポストを交換し、
・食料品の消費税ゼロで飲食店が実質増税になることはない
・飲食店の消費税納税額は増税となる(吉村代表が引用する図表では39→95)が、同じだけ仕入れコストが下がる(756→700)ため、飲食店の損益も資金収支も250で変わらない
・だから飲食店にとって実質増税になるというのは消費税法的には誤りである
と内輪で納得しているようです。
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しかし、こうした机上の整理は、言うなれば(教科書的には)当たり前のことで、とり立てて(改めて)確認するまでもありません。
むしろ、政策論議を深めないといけないのは、ここから先の議論であって、食料品の消費税ゼロが実質的に国民経済に与えるであろう影響です。
例えば、最大の論点は、飲食店への食材等の納入業者が消費減税分(56→0)を必ず"逆・価格転嫁"して仕入れ額が下がるかどうか(756→700)です。万が一、十分に下がらなければ、飲食店は消費増税(39→95)分の負担増を吸収できなくなり(よく指摘されているように)飲食店の経営危機が頻発することとなりかねません。
もう一つ深刻なのは、いわゆる店内飲食(イートイン)に適用されている標準税率10%と持ち帰り(テイクアウト)に適用されている軽減税率8%→0%との差が、2ポイントから10ポイントへと5倍になることが、国民の消費行動に与える影響です。当然、外食産業は日本国内ではこれまでに経験したことのない事態に備えなければならなくなります。
以上は、企業行動や消費行動にかかわる難題であって、関連の研究も少なく、予測することは困難です。
こんな前代未聞のチャレンジを、この物価高という国民の苦境において、本当に断行するのでしょうか。
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消費税法上の課題としても、
・日本初の「ゼロ税率」導入が簡単にできるのかどうか
・免税事業者や仕入税額控除の一括比例配分(95%ルール)といった事務負担軽減策の扱いと影響をどう評価し対応を検討するのか
など課題は山積です。
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おそらく、日本維新の会も、立憲民主党も、自民党の一部も、こうした不可欠の政策論議が十分に出来ていないのではないでしようか。
特に、吉村洋文代表のポストから示唆されるように、責任ある政治リーダーが教科書的な当たり前のことを当たり前に指摘して"事足りる"と考えているとすれば、事態は相当深刻です。
まっとうな政策論議が、速やか、かつ、適切、に展開されることを心から願っています。
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消費税に関する以下のポストについて、萩原けい衆議院議員など日本維新の会関係者は、徹底してスルーしています。
都合の良い時だけ出てきて、都合が悪くなるとスルー。
残念なことです。
その点、玉木雄一郎代表はじめ国民民主党の皆さんは、指摘があれば、即リプ即レスをしていく。答えていく。説明を尽くしていく。
私が、日本維新の会を離れ、国民民主党の党員になった、最大の理由です。
説明責任。
真摯さ。
誠実さ。
そして能力。
不誠実かつ無能な政党や政治家は、選挙でしっかり審判を下していく必要があると考えています。
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吉村前原維新が、説明をしなければならないのにスルーしているテーマは、以下の通り。
どんどん増えていきます。
1.政策方針
1)医療費4兆円削減の具体策
2)私立高校支援金のキャップ制を大阪以外では止めた理由
3)食料品の消費税ゼロの執行方法
2.政治資金
4)旧執行部の政策活動費使途の検証結果
5)パーティー券個人売りを続けている理由
6)旧文通費使途を収支報告書に記載しない理由
3.選挙ルール
7)初の党代表選で後継指名した理由
8)東京15区機関紙頒布の「通常の方法」
9)現職狙い撃ちの党内予備選をした理由
10)立憲との野党間予備選はどうなった?
4.政党ガバナンス
11)兵庫県知事問題への対応がブレた理由
12)生コン国会質疑で私を処分未遂した理由
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吉村洋文(大阪府知事)
@hiroyoshimura
こういう理解ですね。つまり、食料品の消費税がゼロになれば、飲食店の食品仕入れ時に支払う消費税もゼロになり、当然、仕入れ税額控除はないけど、その分、仕入れコストが下がっているので、最終の差し引きは同じ。食料品消費税ゼロで飲食店が実質増税になるというのは事実ではなく、間違いであると。
※ X(旧Twitter)投稿を転載
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(アーカイブ:2025.04.28)